目覚めは最低だった。


忘れてしまいたい夢の内容はシッカリと覚えていて、今でも腕に赤ん坊を抱きかかえているような気分になった。


重たい気分のまま準備を済ませて外へ出る。


あたしの気分と反比例するようにとても天気がいい。


トボトボと歩いてA組まで到着すると、美奈と知樹と直弘の3人はすでに登校して来ていた。


「どうした恵梨佳、顔色が悪いけど」


挨拶の前に知樹が心配そうな顔を向けて来た。


「実はね……」


あたしは昨日見た夢の話を3人に聞かせた。


あの夢は、夢だとは思えないくらいリアルなものだった。


霧の冷たさまで、今でも肌に残っているような気がする。