自分の部屋に戻っても、あたしはまだ夢見心地だった。


知樹とキスをした。


ついさっきの出来事のはずなのに、現実味がまるでなかった。


ベッドに横になりクッションをギュッと抱きしめる。


そうしている間に徐々にあれは夢じゃなかったのだと感じられ始めて、あたしは顔をクッションにうずめて「きゃー!」と、黄色い悲鳴を上げた。


知樹とキスをした。


しかも、知樹の方からしてきたんだ。


それって、あたしのことが好きって事だよね?


自分自身に聞いてみても答えなんて帰ってこない。


ただただ恥ずかしくて、自分の顔に血が一気に集まって来る感覚がした。


そんなタイミングで美奈からのメッセージが来た。


《美奈:無事に家に帰った?》


あたしは深呼吸をしてベッドの脇に座り、スマホを持ち直した。


《恵梨佳:帰ったよ》


《美奈:知樹とどうだった?》


聞かれると思っていた。