「顔色が悪いけど、大丈夫か?」


みんなでスマホを確認していたとき知樹にそう声をかけられて、我に返った。


「うん。全然大丈夫だよ」


「貯水池に人の顔なんておもしろいよな」


「まぁね。なにかありそうって感じ」


あたしはそう返事をした。


あたしたち4人はホラー好きということで、高校に入学してから仲良くなったメンバーだった。


普段はホラー小説や漫画、映画の貸し借りを頻繁にしている。


「よし、じゃあ出かけた時にここに寄り道してみようか!」


直弘からそんな提案が出されるのだって、ごく自然な流れだった。


「あたしも行ってみたい!」


美奈が嬉しそうに言う。


「恵梨佳は?」


知樹にそう聞かれて、あたしは頷いた。


「いいよ」


ちょっとだけ怖いと感じたけれど、本物のホラースポットではなさそうだ。


そういう場所ならネット上で調べればいくらでも出て来る。


「じゃ、決まりだな!」


一番やる気満々に直弘が言ったのだった。