その夜。

電話がかかってきたからスマホ画面を確認すると相手は・・・谷中くん?!

告白の返事の時に色々交換はしたけど・・・。

今までかかってきたこと無かったのにどうしたんだろう?

「もしもし、僕だけど・・・。今度の土曜デートしませんか?」

デートか・・・。

何着て行こう?

じゃなかった。

「行きたい!!どこ行くの?」

「休みの日に会いたいと思って誘っただけだから行く場所までは考えれてなくて・・・。よかったら今日考えて明日の朝言い合うのはどうかな?」

「わかった!!」





「もしもし、七瀬?」

「何?」

「ねぇ〜どうしよう〜。デート誘われたけど何着て行けばいいか分かんな〜い!助けて〜。人生で1番のピンチだよ〜」

我ながら情けないなぁ〜。

「はいはい、当日担当すればいいんでしょ?」

その通りです。
すみません。

「ごめんねぇ〜。でも七瀬ファッションセンスいいから頼りたくなっちゃうんだもん」

「どうもありがと。だからってそんなに慌てなくても」

確かに言われてみれば。

とりあえずどんなコーデがいいか伝えて切るのだった。





そして時の過ぎ行くある日の昼休み。

「谷中くん・・・一緒に帰ってデート先決めませんか?」

勇気を振り絞って教室で誘う。

うぅ〜。視線が痛い〜。

・・・・・SNSで聞けばよかった。

超今更〜!!!!!

穴掘って潜っていっすか?

そんな事を思いながら赤面する私に谷中くんは快諾してくれた。






「何処がいい?」

帰り道、緊張した雰囲気の先手を切ってくれたのは谷中くんだった。

「私・・・・・・超〜〜〜行ってみたいとこがあってね!!BerryFlowerって名前のとこなんだけど!!パンケーキがふっわふわでかなり甘くてジャムがほんのり甘酸っぱくって!!って聞いて絶対美味しいじゃん?!と思って!!」

始まりました。この時後悔することに気づいてない華凛による超絶☆弁論大会!!

ここから長くなりますゆえ中略させて頂いていいです?てかそうしますね。

そこから数十分パンケーキの話をした後。

「・・・。谷中くんはどこがいい?!」

華凛選手やっと黙りました!!

谷中ファンの皆様おまたせしました!!

谷中くんの発言まで3・2・1!!

「僕は・・・・・遊園地・・・かな」

谷中くんは謎の間と疑問系で答える。

「カフェと遊園地行くなら朝から行っても楽しそうだね。遊園地やカフェの近くでお買い物しても楽しそうだし・・・待ち合わせ時間10時とかでどうかな?」

谷中くんサラッとリードしてくれております。

いかにも慣れてるって感じ。

これがモテる人と純一との違いかぁ〜(←純一ファンに謝れ)。

「谷中くんがそれでいいなら私はいつでも大丈夫だよ?」

「うん・・・ありがとう・・・・・」

「・・・・・」

あっ話題が消えた。

皆さん彼氏できたてホヤホヤな時、何から話そうみたいなのありません?!

今それ!!

これ思ってた以上に気まずいね?!

そんなこんなでお互い黙り込むこと数分後。

谷中くんの口が動いた。

「あのさ・・・ありがとう」

???

「なんの事でしょう?」

あっヤッバ!!思ってた事が口に出た!!

絶対バカって思われたやつじゃん!!

でも谷中くんはそんなこと気にせず真剣に続ける。

「・・・好きでもないのに付き合ってくれてるから。ちゃんと言わなくちゃと思って。こんな僕と付き合ってくれてありがとう」

顔を真っ赤にしながら伝えてくれる谷中くん。

そんな彼を見て弟をみてる時と似たようなけどどこか違うような心を締め付けられる気持ちになる。

この気持ちは一体・・・?

「私、お礼言われる様な事してないよ?しかもありがとうは私の台詞。わがまま聞いてくれてありがとう」

素直な気持ちに笑顔を添える。

ちゃんと笑えているだろうか?

そんな私に笑顔を見せてくれる谷中くん。

「ありがとう。だったら付き合ってる間は君の事幸せにしてみせるから・・・・・楽しみにしてて!!・・・華凛」

消え入りそうな声で私の名前を呼んでくれた。

それを私は聞き逃さなかった。

「やっと華凛って呼んでくれた〜!!なかなか呼んでくれないから呼ぶのが嫌なのかと思った〜」

この時違和感を覚えた。

純一とどこか違うような。

呼び方、イントネーション何も変わらない。

変わるといえば声と呼ぶ人。

それだけで何故かとてつもない違和感が。

そう感じているうちにも谷中くんは何度も私の名前を読んでくれて。

他愛のない会話をしたのだった。

そして分かれ道をお互い反対方向に別れて行くのだった。