男たちは神妙な顔つきで柚葉の前で正座していた。

普段はおっとりしていて怒ることもなくふわふわしているため、怒るととてつもない迫力がある。

しかも静かに怒る気質なため、柚葉の身体から発されている怒気に彼らは委縮しまくっていた。


「どうして家族会議を開いてるのか、誰か分かりますか?」


「さあ…」


「お嬢さん、私は無実ですよ」


「僕もなんのことだか」


この中に必ず犯人がいる訳で、柚葉にしてみればすっとぼけているようにしか見えず、今度は殺気のようなものまで滲ませたため、男たち三人はおどおどして顔を見合わせていた。


「名乗り出るまでここから出しませんからね。主さまも今夜は百鬼夜行お休みして下さい」


「え…」


これは大事だと察した彼らは、居心地悪くもそりと身体を動かして正座し直すと、やや前のめりになってごくりと喉を鳴らした。


「一体何が?俺はおいそれと百鬼夜行を休むわけには…」


「駄目です」


ぴしゃりと断られた朔、閉口。


「お嬢さん、私はあなたを怒らせるようなことは一切していませんよ。女遊びだってもう全然…」


「鬼灯様を信じるか信じないかは私が決めます。黙ってて」


輝夜、閉口。


「僕も身に覚えがないんですけど…」


「あなたたち三人の中に必ず犯人が居るんです。しかもそのうちふたりは既婚。既婚ですよ!?裏切り行為ですよ!?」


――これは不貞行為をしたのだと疑われている――

柚葉の隣で口を挟まず静かに座っている芙蓉をちらちら見る朔。

かつて女に節操がなかったものの今や柚葉一筋で不貞行為などしていない輝夜も柚葉をちらちら。

不貞行為と聞いて自分ではないと安心しきりの天満。


「さあ、名乗り出て下さい。名乗り出るまで本当に部屋から出しませんからね」


監禁された男たちは、じっとり汗をかきながら足が痺れても我慢して正座し続けた。