「…梨紗」





俺 ──天野翼は、目の前にいる、元カノの梨紗をじっと見つめていた。



「どうしてよ!どうして、私じゃなくてあの子なの?!」



…全部、俺が悪いんだ。



梨紗にヒステリックを起こさせてしまったのも、音羽を悲しませてしまったのも。




「…ごめん、梨紗。
梨紗には、俺なんかよりも良いやつがいるはずだから」




こんな言葉しか掛けてあげられない俺はなんて無力なんだろうか。



…あのときから、後悔ばかりしている気がする。




「なにそれ?!わたしには、翼しかいないの!」




梨紗と、俺がうまくいかなかったのは。




梨紗が、俺に依存しすぎたから。