ヨーロッパの島国、イギリス。この国はファンタジーの宝庫と言われている。

そんな国に普通の人が通わない学校がある。それは、立派な魔法使いを育てる魔法学校だ。世界中から魔法使いの素質があると認められた人が集い、魔法を学ぶ。

これは、そんな魔法使いの物語ーーー。



「ハリー！次の薬草学の授業に遅れるわよ！早く支度して！！」

赤いネクタイのシックな制服を着た魔法学校高等科の生徒、キャサリン・グレンジャーは何度目かわからないため息をつく。

魔法学校にある寮にある一室。ベッドの上で制服のまま寝転ぶ男子生徒が一人。栗色の髪の可愛らしい顔立ちの男子だ。名前はハリー・カークランド。

「俺、薬草学嫌い〜。変な匂いがしてくるし……」

「それはあなたが間違った薬草を調合するからよ！とにかく、すぐに支度をして！」

寝転ぶハリーに近づき、キャサリンは無理やりハリーを起こそうとする。しかし、キャサリンの細い腕は捕らえられ、ハリーに抱き寄せられた。