「ハヨー」


五十嵐が教室に入ってきた。



どうしよー。


顔が見れない。


きっと私、普通の顔なんてできない。


ほんとに五十嵐は普通なの？


あんなことしたのに、普通とか信じられない。



でも、確かめようにも顔見れない。


ぐちゃぐちゃたくさん考えるのに、


全然動けない自分に


焦るだけしかできないよ。



「・・・ハヨ」



五十嵐がのぞき込んでくる。



うそー


マジか


普通。


何か、何か。


恥ずかしいよお。




「・・・オハヨウ」



柚季は、呟くようにうつむいたまま



答えるしかできなくて。