次の日、栞が先生に呼ばれて職員室に行ってしまった為一人でお昼を食べているとガタッと音がして栞が座っていたイスが引かれた。



「絢人」


イスを引いた人物は絢人で、絢人はそのままイスに座った。





「今日帰りどっか寄ってく?」

パックのジュースを飲みながら、そう聞いてきた絢人に私は首を振る。



「今日遥くんと約束してるの」


「兄貴と…?」


少し驚いた絢人は「大丈夫なの?」と心配そうに言う。





絢人の言いたい事はわかる。
あれだけ泣いてしまって、絢人に迷惑かけて、そんな私が遥くんと会う事を心配してくれてるんだ。





「……………、」


机の下でスカートを握りしめ、絢人の目を見る。




「大丈夫だよ」


「……………」


絢人も力強い瞳を鋭くさせて私を見た。





「遥くんを避けてもどうにもならないし、遥くんと居ると確かに胸が締め付けられるけど……、でも…」


「でも、なに…?」


「……でもね、やっぱり私は遥くんのそばに居たい」


「…………」


「我が儘だけど、遥くんがいいって言ってくれるなら幼馴染みとして、そばに居たい」


「依良はそれでいいの?」


「………」



それでいいのかと言われたら嫌。
幼馴染みとしてなんて、婚約者のいる遥くんのそばなんて、嫌。


だけど幼馴染みとしてでしかそばに居られないなら…




「うん、いいの」




幼馴染みとして、そばに置いてほしい。