帰ってきた雅喜は自分のことを自分でやってくれるので、真湖は、晩ご飯を食べている雅喜の前に赤ん坊を抱いて座り、その顔を見つめていた。

 なんだかんだで、いい旦那さんだなあ、と思いながら。

 雅喜に言ったら、
「なんだかんだは、いらないだろう……」
と言われることだろうが。

 そんなことを考えていたとき、いきなり、テーブルの上に置かれていた雅喜のスマホが鳴り出した。

 着信を見ながら雅喜は箸を持つ手を止め、黙って、スマホを見つめている。

「な、何故、出ないんですか?
 妻の前では出られないですか?
 浮気ですかっ?」
とさっきまで見ていたドラマのせいで、畳みかけるように訊いてしまう。

「莫迦か、羽村だ」
と言って、雅喜はそのスマホを真湖に突き出してきた。