みんなが帰ったあと、真湖が行き倒れたように寝ていると、寝室に雅喜が入ってきた気配がした。

 そっと、真湖と、真湖と並んで寝ている赤ちゃんを見ているようだった。

 赤ちゃんが転がり落ちるのが怖いので、産んで戻ってきてからは、床の上に真湖の布団と赤ちゃんの小さなお布団を並べて敷いて寝ている。

 雅喜がやさしい声で寝ている自分たちに話しかけてきた。

「今日は騒がしかったか? 真湖、と、……」

 真湖と―― のあと、沈黙したが。

 心の中でなにか赤ちゃんの名前を呼んでいるのだろうか?

 課長がなにか決めた名前があるのなら、それでいいんですよ、と真湖は疲れのあまり、目を開けられないまま思っていた。

 だから、課長じゃないでしょ、と真湖の母が居たら、止められるところだが――。

 私はいろいろと考えすぎて、もう頭、飽和状態です、と真湖は思っていた。

 このままだと不思議な名前を、
「……新鮮だ」
と思ってつけてしまいそうだ。