冬休みが終わり、短い三学期が始まった。

今日は休み明けて最初の土曜日。

久し振りに未来の家に遊びに来ている。

未来と会うときは私のおばあちゃんの家が多いけど、大事な話があって未来の家に来たのだ。

「なんで!?一緒に中学行けるとが楽しみって、言いよったよね?」

やっぱりそう言われるよね。

それは覚悟の上だったけど……。

そんなに悲しい顔をされると、私まで悲しい気持ちになってしまう。

「私だって!未来と一緒の中学に行きたかったし、行くつもりやったよ。けど……」

冬休み中のこと。

友也とのキスのことで頭がいっぱいだった私に、母が言った。

「こっちに引っ越したけん、中学のこときちんと決めんばね」

「中学のこと?何を?」

「なにをって、どっちに行くかたい。他に何のあるとね」

「えっ?だってこのMアパートってあっちの中学に決まっとるやろ?」

"あっち"とは、転校する前の小学校から進む中学のこと。

"こっち"が今の小学校から進む中学を言うんだけど、どっちって……?

首をかしげた私にお母さんが説明してくれた。

Mアパートは校区の分け方がなぜか複雑になっていて、小学校は"こっち"なのに中学校は"あっち"となっているのだ。

だから小学校は"こっち"に来たけれど、中学はまた"あっち"に戻るんだって当然のごとく思っていた。

ところが母の話によると、今は少し事情が変わったらしく、必ず"あっち"の中学でなくてもよくなったというのだ。

「だけん、ちゃんと決めておかんばやろ?お母さんはね……」

そこでお母さんと私が通う中学について話し合ったのだ。

そして、その結果について未来に話さなければと思って、今に至る。

「ごめん未来。まさか私もこがん事になるとは最近まで思っとらんかったとけど……。お母さんが転校してたった一年やし、せっかく仲良くなってもすぐ離れたら何のために友達になったとか分からんって。未来とはこうして離れても仲良かし、これから先も友達でおられるやろうって言われた。せっかくやけん友達はたくさん作った方が良かやろうと思うってさ。お母さんにそげん言われれば、イヤって言いにくかった……」

しばらく未来は私の話を黙って聞いていた。

未来にしてみれば私が約束を破ったって思ってるのかもしれない。