仕事を終えて謙が帰宅すると夕食が出来ていた。

 今日はビーフシチュー。


 美奈は洋食ばかり作る。

 和食は苦手で魚を焼くと、信じられないくらい焦げさせる。

 どうしても食べたい時は、焼いてある魚を買ってくるか外食になる。

 食材を買いこんできて、全てが洋食の材料になっている。


 作ってもらうのに文句は言えない。

 その代わりお昼は好きな物を食べていいと言われ、外食している謙。

 
 
 
 今日も食卓に小太郎がいる。

 先にご飯をもらって、シチューのお肉を焼けたと言ってもらって食べていた小太郎。


 なんだか最近の小太郎はやや太ってきているような気がする。


 散歩に連れて行くときも、なんだか歩き方もなんとなく重そうである。


「ねぇ謙ちゃん。私、バイトしようと思うの」

「バイト? 小作りの供えておくんじゃないのか? 」

「そうだけど、ちょっとお金必要だから。まだ妊娠してないしね」

「ふーん。まぁ、無理しない程度ならいいと思うよ」

「うん。謙ちゃんがそう言ってもらえるなら、さっそく明日からバイト始めるね。もう、今日電話して面接行ってきたの」


 え?事後報告? 

 もう決めてたの?

 謙は相談じゃなく、決めていた事だったのかと思った。


「あのね謙ちゃん。バイトなんだけど、駅前の焼き鳥屋さんなの。だから、夜になるんだ」

「え? 夜? どうして夜なんだ? 」

「だって、時給が高いから。短時間で稼げるからね」

「そうか」


 夜バイトに行くのか。

 それじゃあ、時間が合わなくなるんじゃないのか?

 ますますアレの時間がなくなるかも…。


 謙は少し不安を感じた。