今日もいつも通りにお昼の時間になると、智紘先輩が待っているであろう空き教室へ向かおうとした。

─と、教室を出て歩き始めた時、

「あ、いた。」

と、後ろから声が聞こえてきた。


そのすぐ後に、ポンッと肩を叩かれて立ち止まって、振り向くと──


「……あ、大和先輩」

「久しぶり、春香ちゃん」


相変わらず片方の手はポケットに突っ込んだまま立っている大和先輩。

身長が高い分、わたしは見上げる形になる。


「今日は、どうしたんですか?」

「あいつから伝言頼まれちゃってさ」

「…伝言、ですか?」

「そうなんだよ」


そう言った後、「あいつすぐ人使うから」と言って、嫌な顔を浮かべやがらも、なんだかんだ楽しそうに笑った大和先輩。


……智紘先輩が伝言なんかするって珍しいな…。