「引き続きさらに口を割らせるつもりですが
また何処かで狙われる可能性があると思いますから
十分に気を付けて下さい。ルチア様。
聞いておられますか?」

ジョンは、陛下に言うが本人は、
真剣な表情でスラスラと何かを書いていた。
珍しく真剣に仕事をしているわ!?
感心をしていると出来上がったのかパアッと
表情が明るくなる陛下。

「出来たぞ。見てみろ!
今度アイリスに着せる予定のメイド服のデザインだ。
うさぎのメイド服だぞ」

私達に見せてきたのは、何とも恥ずかしい格好が
デザインされたメイド服だった。
ちょっと真剣に仕事をしていると思ったら
何を描いているのよ!?

「ちょっと何ですか!?それは……」

「ルチア様。大事な話をしている最中です。
今の私の話を聞いていましたか?」

ジョンが呆れながら言うと陛下は、
「あぁ、ちゃんと聞いてる。これだって俺には、
大事な事だぞ。見ろ。この素晴らしい出来上がりを
頭のうさ耳もだが、ミニスカの後ろには、
うさぎのしっぽに大きなリボンがついているのが
ポイントだ!」と自信満々に言ってきた。

いや。どう考えてもどうでもいい内容でしょ!?
てっか、それを私に着ろと言うのか?
嫌だ。脚なんて編みタイツだし胸元も開いている。
どう考えても恥ずかしい格好だわ。

「ルチア様。命を狙われているんですよ!?
少しは、危機感を持って下さいよ」

私が呆れながら注意をすると
陛下は、怪訝な表情をしてきた。

「えっ~だってさ。命を狙われるなんて
俺が国王になるために産まれた時点で、すでに
決まったようなもんじゃん。何処の国も
似たようなもんだし。大体イージスだと分かっても
アイツらは、とぼけるぞ?盗賊とは、無関係だって。
イージスがやったと確かな証拠がない限り」

国王陛下!?
産まれながら命を狙われるのが当たり前だと
思っている陛下にも驚きだが
正論を言っているのにも驚かされた。
確かに。イージスがやったと言える確かな
証拠にはならない。

盗賊では、知らないとか言いがかりとか
言われて、とぼけだれたら終わりだ。
証拠さえあれば……。

「では、どのように致しますか?」

ジョンがため息混じりに言うと
陛下は、不敵にニヤリと笑ってきた。