それから少し時間が経って。
外を歩くのもコートがないと厳しい季節。
暖房の効いた教室で、日誌を書く。
「梨瑚ちゃーん!バイバイ!!」
「またね、ひーちゃん!」
教室の窓から顔を出して、手を振るひーちゃんを笑顔で見送る。
「じゃーな、梨瑚」
「うん、朝陽くんもまた明日」
「1人で大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
そういうわたしに、じゃっと手をひょいっと上げて教室を出ていった。
1人、静かになった教室。
窓の外には野球部の部員たちが、こんな寒い中、練習にあけくれていた。
翔平ちゃんは、あれからわたしの傍にいてくれることが多くなった。
…もちろんお仕事には出ていくけど。