目の前にある光景を信じたくなくて。
それでも現実で。
なんでこう、タイミングが悪いんだろ。
その後のことは、よく覚えてない。
気づいたら自分のベッドの中だった。
外はすでに暗くなっていた。
「……翔平ちゃんのバカ……っ」
目が覚めても思い出す光景。
目を閉じても浮かんでくる。
仲直りしようって決めたのに。
どうしたらいいの…。
涙が横に流れていった…時。
────────…ガラ。
静かに、部屋の扉が開く。
…何?
そう思ったけど、目を開けずに寝たふりをした。
何をするわけでもなく、声をかけるわけでもなく扉のところでただ立っているみたいだった。
「翔平さん、車の用意できました」
「……今行く」