「あっ!
もっもなちゃーーん!」



「げぇ」




翌朝。



学校の玄関で靴を履き替えていると、蜂谷くんがニコニコしながら近付いてきた。



わかってる。昨日のことだろう。




「仁のこと」



「わかってる。
何もなかったよ。検証は失敗」



「は?失敗?」



「寝ている篠田くんに近付いたけど、起きる気配なかったよ。
まぁまず、寝てる間にやることじゃなかったってことだよね。
この通り、殴られるようなこともなく、ピンピンしてるよ」




もういい?と声をかけて教室に向かおうとすると、



パシッと手を掴まれた。




「嘘だ。
寝てたって仁は人が近付いてきたら気付く。
桃奈ちゃん、ホントに仁に会いに行ったの?」




たしかに逃げようかと思ったけど、ちゃんと半径3メートル以内にいたし、絆創膏も貼ったっていうのに。



嘘とか心外すぎる!