「早く……ここから出ないと!」


ポルターガイストがおさまったのを確認して紀人が言う。


「そうだね……でも、どうやって……?」


あたしはカラカラに乾いた喉で言った。


緊張から体中に汗をかいているのに、今は凍えるほどの寒気を感じいている。


一刻も早くここから出たいけれど、どうすればいいかわからない。


ドアは相変わらず硬く閉ざされているし、スマホの電波も届かない。


あたしたちは少女を気にしながらも必死に脱出する方法を考えた。


「あの子が目覚めたら、また家具が勝手に動き出すかもしれない」


愛奈が青ざめて呟く。


今は静かに眠っているようだけれど、次いつまた目を覚ますかわからなかった。


「でも、ドアは開かない!」


広貴が苛立ったように言った時だった。


急に眠気があたしを襲っていた。


それは何日も徹夜をした後のような、強烈な眠気だった。


こんな場所で眠るわけにはいかない。


頭では理解しているのに、体は言うことをきかなかった。