亜香里ちゃんと洋司君のお墓は学校からさほど遠くない丘の上にあった。


そこは宝来家の代々墓が垂れられている場所で、日当たりがよく心地よい風が吹き抜けていた。


「ここが亜香里ちゃんのお墓……」


お地蔵さんの形に掘られたお墓は2体そこにたっていた。


「2人とも、別々に入っているの?」


「そうだよ。右側は亜香里ちゃんで、左側が洋司君だ」


「どうして別々に入れるんですか?」


愛奈が訊ねると、岩谷さんは難しそうな顔を浮かべた。


「まぁね。決まった人たちの許可があればお墓は誰でも一緒に入れるようにはなっているけれど……この姉弟の場合は別々がいいだろうって話になったんだ」


モゴモゴと、なにか言いにくそうな様子だ。


ふと思い当たるところがあって、あたしは口を開いた。


「あたしたちはサイトで調べて、2人は感染症で亡くなったと知りました」


けど、その死因は違うかもしれないのだ。