「美鈴、って呼んでもいい!?私、仲良くなりたくて……!」


ぎゅっと手を握って私に迫ってきたのは、ロングヘアで毛先が綺麗な紫色の千梨。


家の手伝いは何度も断られ、やることがなかった私は大人しく自分の部屋で夏休みの宿題をしていれば、急に部屋の襖がノックされて。


開ければ、千梨がいてこうなった。




瞳を輝かせて、じっと見てくる彼女は……やっぱり美少女。


近くで見ていればドキッとして、私は頷いた。


「ありがとう!見ての通り、組ってほとんど男だから女の子が来てくれて本当に嬉しいんだ!」


なんだかすごく嬉しそうに笑う千梨。
そんな顔されるとこっちまで嬉しくなる。



……いい子そうだな。
なんか、仲良くなれそうな気がする。





「暁!カブト虫つかまえに行こーぜ!」


部屋の外から聞こえてくる大きな声。
その声は足音とともに近づいてきて、


「あかつきー?」


開いたままの襖から、顔を出した人物。
その人物は、銀髪のツンツン頭の十。


彼はTシャツに短パンという姿で、首からは虫かごをさげていて、手には虫取り網を持っている。