藍と大河は布を如月刑事にめくってもらい、遺体を見る。手に手錠をかけられ、足を縛られた女性の遺体だった。手に黒い手袋をつけている。

「チアノーゼが見られます。窒息死ですね」

藍は遺体を観察する。チアノーゼとは、血液中の酸素濃度が低下した時に爪床や口唇周辺が青紫色になることを言う。

「首に紐で締めた跡がありますし、他殺の線が濃いと思います」

大河も藍とともに遺体を観察した。

「まあ、遺体は縛られていますしね」

原刑事も頷いた。その後、遺体は近くの病院で藍と大河が解剖することになった。



「亡くなったのは、水谷美雪(みずたにみゆき)さん。調理師の仕事をしていて、手につけた手袋は仕事中におった火傷を隠すためにつけていたそうです」

解剖の準備をし、原刑事が亡くなった人のことを説明する。

「両親は五年前に他界し、実家に一人暮らしだそうです」

台の上に水谷美雪の遺体が置かれる。手錠などは外されていた。

「それでは、解剖を始めます」