できればもう会いたくない。
そう強く思うほど、彼は目の前に現れる。


「おはよう、松橋さん」


駅での待ち伏せはズルイ。

明るい茶色だった髪は真っ黒に変わり、ひどく印象が変わっている。


「朝からなんですか」

「なんですかって、こうでもしないとキミと会えないから」


そんなのわかっているけれど、嫌だと思っていることに彼は気づいていないのだろうか。

じっと睨んでみるけれど、にこにこ笑い返されるだけ。


「それで?
続きはいつにしようか」

「…っ」


一瞬でも隙を見せた私に彼はすぐさま突っ込んでくる。