【風紀の乱れは心の乱れ】
それが風紀委員会のモットーというやつである。
けれど正直、私にはわからない。
「やばっ、松橋さんだ!」
「早くスカート下げて!」
小声で言っているつもりかもしれないけれど、残念ながらすべて聞こえている。
廊下を通るたびにこれ。
スカートの長さで注意されたくないのなら、短くしなければいい話。
それなのに短くするのだから自業自得だ。
とはいえ私も注意するのは面倒なため、極力見て見ぬフリをする。
ただ風紀委員の仕事の時間内であれば、ルールに従って厳しく注意をする。
その結果、今のように警戒されるのだけれど。
「今日も相変わらずの美しいなぁ」
「地味な格好なのに綺麗って、あれぞ正真正銘の美女だよな」
わざと聞こえるように言っているのか、今度は男子の声も聞こえてきた。
廊下を歩くだけでこれ。
どうしてここまで目立ってしまったのか、理由は風紀委員になったせいである。