Extra Story『HAPPY, HAPPY BIRTHDAY』









「廉くん……。
あの、明日の土曜日、廉くんのお家に行ってもいいですか?」



俺がいつもの冷静さを保ったのは、表面上の話だった。





放課後。


二人で来たカフェは、最近の俺たちの行きつけで。


相変わらず口下手な彼女と、相変わらず素直じゃない自覚がある俺は、いつものようにたわいもない話をしていたんだけど。







突然彼女が持ち出した提案は、俺の想像のはるか彼方にあった。


よかった、今ふたりきりじゃなくて。


カフェのほどよい喧騒が、荒ぶる俺の内心を沈めてくれる。


……落ち着け。