「あんた、何にもわかってないよね」



放課後、帰宅しようとしたわたしの前に、このあいだの先輩たちが立ちふさがった。




呼び出しって、なんで、女子トイレなんだろう。


わたしは、心ここに在らずで考える。



「こないだ言ったこと、理解できてないみたいだけど」



「いつまで更科の優しさにつけ込むんだよ、あんた」



廉くんの元カノの先輩が、近づいてきて優しげに首を傾げた。



「あんたなんて、廉にふさわしくないよ」



白く華奢な体から発せられる言葉は、重く鋭かった。



「またあんたと更科の新しい噂が広まってるし。

今日も昼休み、二人で会ってたらしいね?」



「大人しそうな顔して、結構計算高いんだ」



「全部更科を落とすあんたの計画なんでしょ」



わたしは、唇を噛み締めた。