宮水夏羽(みやみずなつは)と彼が出会ったのは、蒸し暑い夏の夜のこと。空には夏の大三角が輝いていた。

「お前なんて消えてしまえ!!」

「誰のおかげで生きていけると思ってるんだ!!」

夏羽は傷ついた胸を押さえる。両親からこんな言葉を言われるのは初めてのことではない。しかし、夏羽はその痛みになれることはなかった。

夏羽の両親は、毒親といわれるものだ。過干渉や暴言・暴力などで子どもを思い通りにしたりする。夏羽は幼い頃から暴言を吐かれ、自分が必要されていないと思うのが当たり前になっていた。

その日も夏羽は暴言を吐かれ、夏羽は耐えきれなくなって家を飛び出した。目から涙があふれてくる。

近所の公園に来た時、夏羽はその場にしゃがみ込み、静かに泣きはじめた。

いらない子、生きる価値がない、必要ない……。そんな言葉ばかりが夏羽の頭の中に浮かぶ。

「どしたの?」

泣き続ける夏羽に誰かが話しかける。夏羽はゆっくりと顔を上げた。カタコトの日本語だ。