結論が出ないまま、日にちだけが過ぎて行く。私達の事情にお構いなしに、日々の暮らしはやって来る。夫の為に私は主婦業を続け、夫は私達の生活の為に、今日も出勤して行く。


だけど、そこには家庭のぬくもりも家族の愛情もなく、ただ「惰性」しかなかった。


夫が帰宅し、夕飯を済ますと話し合いが始まる。でもそこに待っているのは堂々巡りであり、醜い感情のぶつけ合いだった。


愛情なんか、木っ端微塵に吹っ飛んで、もうお互いに憎悪しか抱けなくなってしまってたら、いっそ楽だったかもしれない。


お互いへの愛情が消えてはいないことは、認めざるを得なかった。許したい、全てを乗り越え、今まで通り、夫婦でいたいという気持ちは消し難かった。


でも・・・なのである。お互いの裏切りとその後の不誠実さが、どうしても許せなかった。


自分達だけでは完全に煮詰まり、恥を忍び、周りの友人に相談もした。高校時代からの、私達を2人ともよく知る古い仲間もその中にはいたが、言われることは人それぞれで、私達を結論に導いてくれることはなかった。


ついに私達は、別居を決断した。私が家を出て、実家に帰る形で、一回離れてみて、お互いを見つめ直そう。


言い出したのは私で、一度離れてしまえば、もうそのまま別離に向けて一直線になってしまうのが、正直怖かったし、年老いたお互いの両親にこんなことで心労をかけることは、本意ではなかったが、もう他に方法は考えられなかった。


「とにかく1週間、その間は電話もメールもなし。頭を冷やして考えよう。そして、1週間後、ここでもう一度話し合おう。」


「わかった。」


そう話した翌日、夫を送り出したあと、私は荷物を持って家を出た。自分で言い出したのに、私がいなくなったあとの、夫の身の回りのことが心配になったが、離婚するかもしれないのに、そんな心配をしたって仕方ないか・・・ちょっと自分で苦笑いしてしまった。