大野三郎がひき逃げされてから、四ヶ月。法医学研究所には、藍たち監察医と如月刑事と原刑事、そして大野和美と大野花凛がいた。

「あたし、これからライブに行く予定だったんですけど〜!!マジ、ありえない!」

ブツブツと大野花凛が文句を言う。それを大野和美が咎め、「お話とは何ですか?」と訊ねる。如月刑事が最初に言った。

「三郎さんをひき逃げした人物を、本日逮捕しました」

如月刑事は二人に犯人の写真を見せる。メガネをかけた小太りの男性だ。

「黒山晴人(くろやまはると)、三十五歳の会社員です。スマホを見ながら運転している最中に三郎さんを轢き、怖くなって逃走したそうです」

「……そうですか。よかった、犯人が見つかって……」

大野和美は微笑み、目を閉じる。その瞳から涙がこぼれ落ちていた。

防犯カメラの映像の解析が終わり、ナンバープレートから如月刑事たちは犯人を特定した。ずっと逃げ回っていた犯人を捕まえることができ、如月刑事と原刑事はどこか誇らしげな表情だ。