ようやく休日。今週はめまぐるしかった。

 織と再会したと思ったら、実は織が〝Sakura〟のデザイナーだと判明し、井野さんに告白され、自分の気持ちと向き合い……織とキスをした。

 両手で顔を覆い、ベッドの上でゴロゴロと左右に身体を動かし、悶絶する。

 心の底から恥ずかしい。赤ちゃんの頃から隣にいた相手だと、なおさらだ。

「ふー」と息を吐いて、気持ちを落ち着かせる。
 天井を仰ぎ見て、緩んでいた表情を強張らせた。

 あのハンナさんっていう人……やたらと織を触ってた。
 ボディタッチなんて、向こうでは当たり前なんだろうと思う反面、もやもやとしている自分がいる。

 わからない。初対面だし、海外で生活している人だし、スキンシップがどの程度なのかなんて。
 だけど、彼女と目を合わせた一瞬、私は嫌な予感がした。

 結局、織の部屋には行かず、あの場で別れて帰ってきた。

 ハンナさんは織に仕事の話もあるようだったし。

「……本当にそれだけ?」

 本音が口から零れ落ちる。

 どれだけ考えたって、人の心なんて見えるわけもない。
 鬱々する気持ちを吹き飛ばし、ベッドから勢いをつけて立ち上がる。

「よし! 今日は掃除に徹する!」

 大きなひとり言で意気込み、着替えと軽い朝食を済ませる。

 黙々と掃除に専念していたら、余計なことを考えずに済んだ。が、気づけば夕方が過ぎ、休日の一日が終わる虚しさに襲われた。