『好きじゃ、ない』

そう言ったのは、私。

『だから、ごめんなさい……っ』

傷つけたのは、私。

それなのに、毎日のように咲のことを考えては、苦しくて仕方がない。

夏休みだから会わなくなれば忘れられると思った。

それなのに……。

『葵が好きだ』

咲の真剣な想いがストレートに胸に響いて、今も甘く胸をくすぐる。

行き場を失った咲への想いが胸にくすぶって、ぐるぐるぐるぐる。

好きなのに気持ちを伝えられないってツラい。

「はぁ」

左胸に手を当てる。

今日は少し脈が乱れてる。

そのせいか身体がだるい。

私はいつまで生きられるのかな……。

漠然とした疑問が脳裏をよぎって、考え出したら止まらなくなる。

コンコン

「葵お嬢様、お食事の用意ができました」

「いらない」

ドア越しに少し大きめの声を出す。ベッドに潜り込んで掛け物を頭からかぶった。

「どうかされましたか? まさか、体調が悪いとか?」

「ちがう……そんなんじゃない。私のことは放っておいて」

ギュッと目を閉じ、シャットアウトする。