ケータイ小説 野いちご

死神探偵小早川曼は今日も。

8・西宮コバトと言う男




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8-西宮コバトと言う男


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彼の雰囲気や顔立ちは曼ととてもよく似ていた。

一本の三つ編みを後ろで束ねた灰色がかった緑の髪に満月のように澄んだ金色の右目と星のような美しい銀色の左目。

夜空を連想させるような群青色の着流しの上に大きな白い菊の花が刺繍された真っ赤な羽織りを纏った痩せた男はいつも口元に笑みを浮かべて歩いてる。

男の名は“西宮コバト”だが、それは“他所の世界に出かけた時だけ使ってる名前”で本名は“白菊アオイ”。

かつてリクだった人物。-曼と遠い昔双子の兄弟だった男だ。


死神との約束通り、視える・聞こえる・話せると彼はほぼ曼と同等の力を持ち曼と同じく過去に双子であった記憶を持ったまま現世に再び産まれ返ったが、

曼とひとつだけ違うのは、“曼は相手の過去を視て心情を読み取る事が出来る”が“アオイは心情が視えない代わりに相手の承諾さえあれば意識だけを相手の過去に飛ばして相手が生きてきた過去に旅行しに行く事が出来る”と言う事。

ただ何度も言うがアオイはお邪魔出来るだけでそこで出会った人物達と少しだけ話しは出来てもその人物の頭の中は全く視えない。だから

「僕と曼、2人で完璧なんさぁ。…たまには一緒に出かけましょうてなんべんも言っとるやろ…?本につれないお人よのぅ…寂しゅうて死んでまうわぁ」

「…」

曼は黙ったまま視線を合わせようとしなかった。

合わせればアオイは面白がって素直に自分から視て良いよと何を考えてるか表に出して曼にワザと見せつけて来るのが分かっていたからだった。

いつかのリクだった頃の可愛さは何処。
アオイの今の肩書きは
“人の嫌がる事をつまみにして酒を飲む男”。だ。

なんせ[悪口・挑発・覗き・嫌がらせ・からかう・いじめる・泣かせる・腹立つあの子を追いつめ蹴飛ばす]と、基本的に嫌なことを他人にして面白がりそれを餌に喰って生きているほど普段から性格の悪さが表立って目立つのだ。

ハルやイオリ、側近の羽沢とアオイを深く知る人達からは彼の根は良く優しいと言うのだから曼は分かってないといつもそいつらを呆れた目で見てしまうのだった。

「…むかぁしの思い出でも見てたん?」

「……なぜそう思う?」

「だぁって僕もここ来る前の眠りん中でリクだった頃の夢みたんやもん…あんたも同じやろ?」

アオイは自信があった。

なぜなら曼とアオイは同じ時に生まれ返って再会する時まで会ったことのない相手と文通のやり取りをするみたいにいつも頭の中で会話をしていた。

きっかけは“つまらないわぁ…”と言う声が聞こえてきて曼がなんとなく“本当にな”と心の中で返した事。

そうして知らない相手と会話をしているうちに自分達の考えや思いが良く似ている事で会ってみたいとお互い思うようになり、偶然にも住んでる場所が近かった事もあって場所と時間を決めて小学2年生の時に隣町と繋がる橋の上で再会した。

すると不思議な事に曼もアオイもまるで自分を見ているかのようにお互いの顔がそっくりな事に驚くと同時に目を合わせた瞬間 頭の中にパァッと前世の記憶が蘇ったのだ。

そうして遠い昔自分達が双子の兄弟であった事や死神に出会った事など様々な記憶を思い出し、それ以降、夜になって眠って見る夢も常に同じ光景を見るようになっていたのだ。だからアオイには自信があった。

「僕は曼だけには嘘は言わんよ?」

ニヒルな笑みは死神譲りらしい、
アオイはにやにやしながら向かい合うように曼の膝上を着流しの裾からすらりと細い真っ白な艶玉のような足を出して跨いで座った。


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