同棲二日目は日曜日で周さんも休みだったので、旧一柳侯爵邸へと案内してもらった。私が働き始めるのは水曜日からなので、職場の皆さんへの挨拶も兼ねて。

周さんの自宅から、徒歩十五分で着いた旧一柳侯爵邸は、ルネッサンス様式と呼ばれる白亜の豪華な洋館で、貴族が暮らしていたことがありありと想像できる。

白い外壁に緑青色の屋根がハイカラで、円柱が用いられた玄関ポーチやアーチ型の窓も洋風で優雅な印象だ。

中のホールは、漆喰の真っ白な壁と木製のドアや腰壁、くすみのある真紅の絨毯のバランスはとても重厚感があり、周さんの自宅と似ていた。

その正面扉の奥が、元は食堂だったレストランになっている。

広々としたそこは、天井に施された装飾とシャンデリアが華やかで、格調高く落ち着きのある空間だ。

そのレストランの雰囲気によくマッチしているのが、給仕係の女性の袴姿。

黒い大きめの矢羽根模様の着物に、紫紺の袴とブーツを合わせたスタイルで、和服好きな私はとても心をくすぐられた。