紫蘭のイベント当日、私は新調したパーティードレスとパンプスを身につけ、なんとか女子アナ風スタイルに仕上げた。

会場のラグジュアリーな雰囲気にも合わせて周さんが選んだパーティードレスは、ロング丈のシフォンワンピース。

彼はこういうのが好きなのか、なんて考えるとちょっとくすぐったくて。

『どうして今まで避けてきたんだ。こんなに綺麗なのに』とさらりと言われ、舞い上がってしまいそうにもなった。

髪の毛は簡単なハーフアップにして、リボンのバレッタをつけている。

これも周さんチョイスなのだが、大正ロマン風の深紅のリボンは洋風にも和風にも合うデザインで、これだけでオシャレ度が上がるので、本当に彼はセンスがいい。


会場は、結婚式場やホテルなどが入っている高層ビルの四十八階にある。なんと周さんは、せっかくだからとここのホテルの部屋まで予約してくれたのだ。

婚約者としての、ある意味仕事みたいな感覚だった今日のディナーショーが、めちゃくちゃ楽しみに変わったのは言うまでもない。

好きな人と、リッチな食事とピアノに酔いしれて高層ホテルで一夜を過ごすだなんて、贅沢でロマンチックで……控えめに言って最高だ。