ケータイ小説 野いちご

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彼女になれない彼女

2回戦突破の夜

「おめでとう。」

今日の平良の定食はちょっと豪華。
県予選3回戦にコマを進めたから、ママが張り切った。
定食を美味しそうに頬張る平良。

「おお、ありがと。」

やっぱり、今日散々注目を浴びたピッチャーとは思えないほどうちではオーラがない。

「次の試合いつなの。」
「あさって。」
「えー、見れないじゃん。」

私が授業を受けている間に、予選は行われる。
1回戦も2回戦も3回戦も見れないなんて。

「べつに来なくていいよ。」
「あっそう。」
「野球の試合とか興味ないだろ。」

平良に言われて、たしかに私は今まで応援に行ったことがないことに気づいた。

みんなにキャーキャー言われてる平良をそんなに見る気にならなかったからかもしれない。

「まあね。」

私は小さく呟く。

「あ、そうだ。」

平良が何か思い出したように言った。

「壮行会の後に沙和に書いてもらったやつ、もう全然見えなくなってきたんだけどさ」

帽子の裏のやつだ。

「ああ、ボールペンで書いたやつ。」
「試合中、たまに帽子外すと書いた跡の点々だけが目に入って笑いそうになるから、あれちゃんと書き直してよ。」
「なに、笑いそうになるって・・・。」
「いいから書き直して。」

平良が笑って言う。

「分かった。」

私はご飯を口に入れる。

「じゃあ書くから貸して、帽子。」
「帽子、俺の部屋。」
「え?」

どういうこと。

「あとでちょっと来て書いてよ。」

えーー
平良の部屋・・・!?

突然の展開に私はその後のご飯を味わうことができなくなってしまった。




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