テストの1週間があっけなく過ぎた。

野球部は県予選があるから、他の生徒とは違うスケジュールでテストや授業が組まれたようだ。

私はこの1週間、敢えて夕ご飯を遅らせて平良と会わないようにしていた。
全然話すこともなかった。

テスト明け、憂鬱な日がスタートする。

「今日テスト返されるかな。」

彩乃が言う。

「数学は採点早いから返されそうじゃない?」

弥恵の言葉に、彩乃と私はうなだれる。

「そうだ、今日壮行会じゃん。」

弥恵がハッとしたように言った。

「壮行会?」

ボンヤリしてる私を弥恵がキッと睨むように見る。

「沙和、なにボーッとしてんの。野球部の壮行会!もう今日初戦じゃん。県予選。」
「え!」

すっかり忘れてた。
そういえばそうだったような。

ちょうどタイミングよく担任の山本先生が入ってきた。
私たちはサッと散らばって自分の机に戻る。

「今日これから体育館に移動して野球部の壮行会です。20分に間に合うように各自移動すること。」

山本先生は野太い声で言うと、時計を見た。
15分だ。

後ろの方の男子がちらほらと「はーい」と言う。

野球部の壮行会・・・
県予選・・・

全然本人から聞いてない。
そもそも最近はテストだったからちゃんと話してないし、あんなこと言ったから避けてた。

何か直接言っておけば良かったなー。

彩乃と弥恵が私のところへ来て「行こ。」と腕を引っ張った。