いつものように慌ただしく朝食の支度をしながら理恵は自分の身支度も整えていた。
冷蔵庫に貼られた勤務表を確認して、自分のシフトと夫のシフトを確認する。
自分は今日は日勤。明日は夜勤。夫は今日が夜勤で明日が休み。
こうして冷蔵庫に貼られた勤務を確認して、同じく冷蔵庫に貼られているホワイトボードに食事を書き込む。
『おかえり。お味噌汁と鮭のホイル焼きとサラダとおひたし、冷蔵庫にあるよ。夜は適当に。』

今日は理恵はこれから出勤だが夫の朝陽は昼前に帰宅する。

30歳。
理恵は看護師として産婦人科に勤務している。
同じく30歳の夫朝陽は外科医師。
同じ総合病院に勤務している。職場では中堅職員としてかなり忙しい毎日を送っていた。

お互いに夜勤もあるため、二人は一週間のうちに顔を合わせることも少ないことがある。
そういえば朝陽と顔を合わせて話したのはいつだったっけ・・・。

理恵が帰宅すると朝陽が眠っていたり夜勤で不在ということが多い。
逆に理恵が眠っているときに朝陽が帰ってきたり、理恵が夜勤の時に朝陽が家にいることも多かった。