その日、ヴァイオレットの相談所は休みの日だった。

ヴァイオレットは白いレースのついたドレスワンピースを着て、久しぶりに母の妹、ダリアの住む屋敷を訪れた。ヴァイオレットの意思ではなく、ダリアに呼び出されたのだ。

「ごめんなさいね、呼び出しちゃって……」

花が咲き乱れる中庭で、紫の上品なドレスを着たダリア夫人はマカロンを口に入れる。

「いえ、ちょうど休みでしたから……」

ヴァイオレットも市場では手に入らない紅茶を飲み、フィナンシェを食べる。ふわりと優しい甘さが口に広がった。

ヴァイオレットは、ダリア夫人とアフタヌーンティーを楽しんでいる。ティータイムは貴族には欠かせない。

ヴァイオレットの母も、ティータイムが大好きだった。甘いお菓子と紅茶に囲まれ、笑顔を見せていた。ヴァイオレットは目を閉じる。

「あなたに大切なお話があるの」

ヴァイオレットが目を開けると、ダリア夫人はにこりと微笑んでいた。