『あんたなんて、産まなきゃよかった……!』

『あなた、私の彼をたぶらかしたよね!?』

『あなたが体を売っているって噂は、たっくさんあるのに』



やめてやめてやめて。

脳をガンガンと殴られ、内側からえぐられているみたいな感覚。



「……は、あ……っ」



朝5時半。最悪の目覚めだと思った。

私だって、誰にも愛されないのに産まれてきたくなかった。

テストで1位を取れない。通知表も5以外の数字がある。……だから、たったひとりの肉親のお母さんにさえ、嫌われてしまった。私は、完璧じゃなきゃいけないのに。

ごめんなさい。ごめんなさい。完璧じゃなくて。



ありもしない噂が広まって、泣いてもお得意の武器だと笑われて。……もう、限界だ。



ふと空をみると、分厚い雲が広がっていた。太陽は覆われていて、だけど、どこからか光がある。

柔らかに、ふんわりと、あかりが舞っている。

いまはみえないだけで、太陽はたしかにあって、こんなにも綺麗なんだ。



……死ぬにはいい日だなと、うなずく。



お気に入りのワンピースに着替え、家を飛び出した。