サナは生意気だ。オレの感情を逆撫でするのがとにかくうまい。感情をコントロールするのは得意なはずなのに。サナに言われると、何時もなら怒らないことでも、とにかく腹が立つ。

「また女騙してきたんでしょ」

「騙してねぇ」

「騙してるじゃない?」

「騙したんじゃねえ、夢をうってるだけだっ」ホストの常套句を何故女子高生のサナに言わなければならないのか疑問に思いつつ、サナにコンビニで買ってきた朝ご飯をわたす。

「女を騙したお金で買ったご飯なんてっ」と、毒づきながらもサナはそれを口に運ぶ。

この瞬間にオレはある種の喜びを感じるようになった。サナがご飯を食べたと言う事実がうれしい。