【今日も残業で遅くなるから、家のことよろしくね】
テーブルの上に置いてあるスマホが光り、手を伸ばせばお母さんからメッセージが届いていて。
その内容がこれだった。
今日もお母さんは帰りが遅い。
ひとりで過ごす夜が確定した。
「またひとり…」
ぽつりとひとり言を吐いて、丸型のふわふわクッションをぎゅっと抱きしめるように両腕で包み込んだ。
『その時俺がこう言ったわけですよ〜』
『おっ、なんて言ったんですか』
『美味しい爆弾ショコラですね!って』
『いや、それ絶対フォンダンショコラのことやろ!』
静けさをかき消すようにしてテレビをつけていたけれど、どの番組もピンとこない。
それでも消しているよりマシなため、テレビの音量を上げて画面を見つめていた。