「見せて。俺が全部上書きする」
詩優の部屋へと帰るなり、いきなり言われた言葉。
「…え?」
とんっと肩を押されて、バランスを崩す。
ドサッと倒れても痛みはなくて、むしろ柔らかいところに倒れた。
…ここは詩優のベッドの上だということに気づいたのは数秒後くらい。
倒れた私の上に詩優は覆い被さって、そっと私に手を伸ばす。
ぎゅっと目を瞑るけど、触れたのは私の首元。
そして、ぺりっと何かをはがす。
「…やっぱりか」
何かが確信に変わったのか、詩優はそう呟くとあと2枚もぺりっとはがす。
…もしかしなくても、詩優がはがしたのは私が首元に貼り付けた絆創膏。絆創膏のしたは……
冬樹くんにつけられた赤い痕がある。