ケータイ小説 野いちご

隣国の無鉄砲な国王様に気に入られまして



窓の外は、まだ漆黒に包まれている。


ベッドの中で浅い眠りを繰り返していた私は、突然外で大きな物音と、同時に何かを叫ぶ乱暴な声が複数聞こえて息を殺した。



───またなの?最近、やけに多い。


そんなことを思いながら、少しだけ震えている自分の手にギュッと力を込めて自分を奮い立たせる。


大丈夫……。
今までだって、幾度となくこんな夜を越えてきたんだから。


今日だってきっと、何事もなく朝を迎えられる。


半ば言い聞かせるように『大丈夫』と心の中で唱えて、ゴクリと生唾を飲み込めば、その音が静かな部屋にやけに響いた。


徐々に遠くなって行く足音と人の気配に、ようやく私は「ホッ」と肩を撫で下ろす。



「また、ヘルメ軍かしら……」



私の暮らすアヌザ王国と、隣国のヘルメ王国は古くから今も戦争が続いている。


ここ最近は特にこの辺りでの抗争が後を絶たない。アヌザ王国の町外れにあるこの辺りは、民家という民家も少なく、敵軍を誘導して暴れるにはもってこいの土地なのだ。


最近では歩み寄ろうとするヘルメ王国に対し、我がアヌザ王国がその一切を拒絶しているという噂もある。


先代国王や、徴兵された民が命をかけてまで守ってきた……これはアヌザ王国のプライドを賭けた闘いなのだ。

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