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舞踏会

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私は、その後もハールとの逢瀬を重ね、2週間が過ぎた。

今日は、多くの国賓が訪れているので人目を忍んで森へ行くことはできない。

ハールに会えない上に、夜には、見ず知らずの男性に値踏みされながらダンスを踊らなければならない。

私の不安は最高潮を迎えていた。

できるものならば逃げ出したい。

私が自室で葛藤と戦っている時、ノックの音がしてクラウスが現れた。

「王女殿下、お手紙でございます。」

渡された手紙は2通。

1通は宛名も何もない封筒。

もう1通は 『クリスティアーネ・ディートリンデ・フォン・ミュラー』としっかり宛名が書かれている。

「これは…?」

この城にクリスは存在しないはず。

いるのは、身代わりの王女と本物の王女殿下のみ。

「私が直接、王立高度医療研究所付属病院に
出向いて預かって参りました。」

ということは…

「お母さまから!?」

「はい。」

私は、取るものも取りあえず、急いでペーパーナイフを取って封を開けた。