ケータイ小説 野いちご

約束〜二人で帰ろう〜

親友

風が、頰を撫でていく。私はヨモギに「気持ちいいね」と笑いかけた。ヨモギも嬉しそうに尻尾を振る。

あの事件からもう一ヶ月が経った。世間は最初のうちは騒いでいたけれど、今ではもうすっかりみんなの中から忘れられている。人の記憶は残酷かもしれないけど、私や瑠璃ちゃんにとったらその方がいい。

お父さんたちは無事に帰ってきた私を、強く抱きしめてくれた。「よく頑張ったな」と言ってくれた。

元彼氏たちは逮捕され、私は家族が過保護になったこと以外は変わりはない。ただ、時々あの時のことを思い出して寂しくなる。

私と瑠璃ちゃんは別の県に住んでいる。瑠璃ちゃんとは会えていないまま。連絡先も交換できなかったから……。

もう一度、瑠璃ちゃんに会いたい。そんな思いが心の何処かにある。あの時、瑠璃ちゃんの住所を聞いておけばよかったかも。

そんな後悔をしながら、いつもの散歩コースを歩く。川の近くの土手には私とヨモギしかいない。

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