つないだ手から、互いの緊張した脈が伝わってくる。私と瑠璃ちゃんは足音を立てないように気をつけながら走った。

元剣道部員とはいえ、廊下に竹刀が落ちているわけではない。元彼氏の妹は女性だったからまだ勝てた。しかし、男性の方が圧倒的に力では勝るだろう。

トイレやお風呂の時は、ずっと目隠しをされていた。予想以上の家の広さに私たちは戸惑う。

その時、近くの扉が開いた。隠れたくても隠れる場所がない。元彼氏の妹の息子が登場する。

「えっ?何で……」

鎖でつながれていない私と瑠璃ちゃんを見て、元彼氏の妹の息子は驚いたように目を見開く。

瑠璃ちゃんが私の手を強く握った。瑠璃ちゃんは怯えた目を元彼氏の妹の息子に向けている。私は相手を睨みつけた。

元彼氏の妹の息子は、一瞬にして気持ち悪い笑みを浮かべながら近寄ってくる。

「瑠璃ちゃん!僕に会いに来てくれたんだね!ついに僕のお嫁さんになってくれるんだね!」