「今日が最後だから。今日を最後にあきらめるから…」


流山くんのことをあきらめようと決めてから1週間後の日曜日の朝、



最後にもう一度、どうしても流山くんの姿が見たくて道場に向かった。


日曜日は朝稽古している、という話を雑誌で読んだから。


朝の道場に向かい、古い門構えを抜ける。


門から道場に続く小道に茂る竹林は、早朝の静けさのなか瑞々しい輝きを放つ。



大きく開かれた道場の扉の奥で、かすかに人の気配がした。


そっと覗くと、

そこには広い道場の真ん中で、ひとり稽古をしている流山くんの姿があった。



扉の影に隠れて、流山くんのことを見つめた。



朝の靜かな道場で稽古している流山くんは、

わずかに差し込む朝日を浴びてキラキラ輝いていてとても綺麗だった。


流山くんの姿が涙でにじむ。