幼い頃から、堀口波瑠(ほりぐちはる)は海が好きだった。波の音や、潮の香り、青い海を見つめ続ける時間が好きなのだ。

ある日テレビで見た美しい海に、波瑠は心を奪われる。それは、インド洋の真珠と呼ばれるアフリカの島国。

「いつか、行ってみたいなぁ〜……」

小学生だった波瑠は美しい海を見つめ、いつか行くことを夢見ながら画面を見つめ続けた。



それから数年後、波瑠はその国を訪れている。目の前には美しい白い砂浜と青い海。波瑠がずっと憧れていた光景だ。

東アフリカ沖のインド洋に浮かぶ115の島からなるセーシェル共和国。数多くのビーチやサンゴ礁、自然保護区を擁し、ゾウガメのような希少な動物も生息している。

黒いチェックの水着を着て、波瑠はずっと砂浜に座り込んでいた。ビーチには水着を着た多くの観光客で賑わっている。みんな楽しそうに南国でのバカンスを楽しんでいた。

水しぶきが空中に煌めき、人々のざわめきが波瑠の耳に入り込んでくる。