私の中に愛しい者が入ってゆく。それは、毒されて私に敵意を持っているけれど、愛しい。愛しくて、堪らない。
彼は私を攻撃する。だけれども、私は彼を包み込む。優しく、温かく……。

「オリオン。今度は私が、あなたを守るから……」

すると彼は徐々に温かさを取り戻してゆき、縋るように、私の名前を呼ぶ。

「ナ……セナ!」





「セナ! セナ!」

その大きな声で……体が強く、大きく揺さぶられて、私は目を覚ました。

目の前には、必死で私の名前を呼ぶ無骨な彼がいた。それは、愛しくて……会いたくて堪らなかったオリオンの、元気な顔。

「オリオン……」

「セナ! 良かった。セナ……」

安堵したオリオンの顔……初めて見た。
だって、彼はいつも不機嫌でぶっきら棒で。誰かに感情を寄せるなんて、想像もつかなかった。

でも、今……目の前の彼はまるで幼い子供のように思えて。そんな彼がより愛しくて堪らなくて。

思わずオリオンを抱き寄せて、その唇に私の唇を重ねた。