「ちょっと、オリオン。早く起きなって」

「あ、あぁ……」

「もう朝陽も射してるわよ」

「すまん、もう少しだけ寝かせてくれ……」

「もう〜……」

初対面のオリオンの、あれだけ怖いイメージはどこへやら。もうすっかり、彼のだらしない面が目につくようになって……私はまるで、世話女房だ。

一週間くらいは経っただろうか……この世界での生活もすっかり板についてきて、この頃では朝も私の方が早く起きる。
そして火を焚いて、朝食を一緒に摂って。私はオリオンが狩りへ出掛けるのを見送るのだ。

魚を釣ることは覚えたのだけれど。食べ物が魚ばかりでは飽きがくるし、やっぱり栄養も偏る。だから、オリオンは朝早くから狩りへ行って……私に気を遣ってか、私の目の触れない所で獲物をさばく。
そして私はその間、木の実や果物を摘んだり、薪を拾ったりする。
そんな生活を送っていた。


「まったく……狩りに出てないお前には分からんのだ。とんでもなく過酷な労働なのだぞ」

「はい、はい。分かってる。でも、毎日、早寝早起きしないと! リズムが崩れるでしょ」

私に叩き起こされたことにぶつくさと文句を言う彼をなだめる。それが、私達の毎朝になっていた。